就活が終わり、婚活も無事に完了したかと思うと、次の大きなハードルは「保活」です。保活とは、子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動です。
都心部では保活の厳しい状況が続いているため、2018年においては不動産業界の中で育住近接というトレンドの風が吹いています。
そこで本稿では、不動産投資家として育住近接というキーワードをどのように捉えるべきかについて解説していきます。
分譲に大きな影響を与えている育住近接
育住近接とは、株式会社リクルートホールディングスが2017年12月に発表した、2018年のトレンド予測の中で使いだした言葉です。職場と家が近い職住近接とゴロ合わせが良いため、言葉としても広く受け入れられています。
育住近接という状態は、保育園や学童保育施設が住居と近接していることを指します。具体的にはタワーマンションの1階に保育園が併設されているような物件です。このような物件は人気が高く、育住近接という言葉を生み出した要因となっています。
保育園が併設されているようなマンションは、立地条件が多少劣っていたとしても、人気があります。2018年も同様の傾向が生じており、2018年の不動産業界におけるトレンドキーワードとして育住近接が注目されています。
育住近接のターゲットとしては、新婚または未就学児童を抱えた共働きのファミリー世帯です。マンションや戸建を購入する分譲市場を中心にトレンドとなっています。
賃貸への育住近接の影響は少ない
一方で、ワンルームマンション投資であれば、入居者のターゲットが社会人の単身世帯となるため、育住近接はあまり関係ありません。
独身であれば保活は関係ないため、やはり育住近接よりも職住近接のほうが重要となります。そのため、育住近接のトレンドが賃貸市場に及ぼす影響は限定的となっています。
育住近接という発想は使える
ただし、賃貸物件はワンルームマンション投資だけではありません。
賃貸においても、物件やターゲットを変えることで育住近接の重要性が増してくることがありますので、育住近接の視点を持つことは大切です。
例えば、戸建賃貸では以前より育住近接に似たような現象が見られています。
戸建賃貸というのは、ターゲットがファミリー層であり、物件も比較的駅から遠いものが多いです。
ファミリー世帯は単身世帯に比べると、賃貸需要が弱いです。さらに、駅から遠い戸建となると、ますます借手が少なくなります。
しかしながら、ある特定のエリアだと、戸建賃貸の需要が高まる傾向があります。それは学童保育が併設されている小学校の学区内のエリアです。
学童保育とは、小学生児童に対して授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る保育事業のことを指します。
学童保育が併設されているような小学校は、子どもをそのまま学校に預けることが可能です。共働き世帯やシングルマザー世帯などは、学童保育が併設されている学区内にわざわざ引越してくることがあります。
このような学区内にある戸建賃貸は、入居者の募集が比較的しやすいです。このような傾向は以前から見られましたが、今後も同様の傾向が続くものと考えられます。
近年は保育園不足がマスコミで大きく取り上げられることから、保育園だけに目が行きがちです。
ところが、問題はさらにその後も続き、学童保育の問題も残っています。育住近接とは、保育園のみならず学童保育も近いところを求めているというトレンドです。
戸建賃貸へ投資を考えている人であれば、学童保育がある小学校の物件を選定していくのが良いでしょう。
まとめ
以上、育住近接が不動産投資に与える影響について見てきました。育住近接は、戸建賃貸などの一部の投資に追い風を吹かせる可能性があります。情報アンテナを高くしながら物件選定に役立ててください。