個人の資産は、現金のほか、有価証券や不動産など、複数の種類の資産をバランスよく持っていることが理想的です。
不動産投資に興味のある人の中には、不動産投資している人の資産状況はどのようになっているのか気になる方も多いと思います。
そこで本稿では、不動産投資している人の資産状況および最終的にどのような形を目指すべきかについて解説していきます。
卵を一つのカゴに盛らない
投資の世界では「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があります。これは、現金や不動産、有価証券といった資産について、どれか一つだけ偏って保有することはすべきではないということを言い表したものです。
例えば、現金だけしか持っていない資産家がいるとします。このような人は、何も投資していないため、一見すると安全なように見えます。
ところが、現金だけしか持っていない人でも、インフレが生じてしまうと大きなリスクがあります。
インフレはモノの値段を上げますが、同時に現金の価値を下げることになります。モノの値段が100倍になってしまったら、今の100円が1円の価値になってしまうということです。
今の日本では急激なインフレは想定しにくいですが、それでも不動産価格が上昇基調にある昨今では、緩やかなインフレが起きていると言えます。このようなインフレ状態にあっては、現金だけではなく、モノの不動産を保有していることも重要な意味を持ちます。
富裕層は不動産の所有割合が多い
では、富裕層は実際、どのような割合で資産を保有しているのでしょうか。
国内の富裕層の代表格と言えば、相続税の納税義務者です。相続税の納税義務者は不動産投資している人が多いので、相続財産の構成割合は参考となる指標です。
相続税の課税対象となっている人は、全体の約8%です。つまり、相続財産の内訳を知ると、トップ8%の富裕層の資産構成割合を知ることができます。
国税庁では相続財産の金額の構成比を公表しています。
これによると、2016年における相続財産の金額の構成割合は、土地が38.0%、家屋が5.5%、有価証券が14.4%、現金・預貯金等が31.2%、その他が10.9%となっています。
土地および家屋の合計は43.5%であり、全体の4割強が不動産、3割強が現金等ということになります。
相続税の納税義務者は不動産投資している人も多いことから、不動産投資家の資産構成割合は、不動産が4割、現金が3割という人が多いという仮説を立てることができます。
不動産投資を始めると不動産割合がふえる
近年は、不動産投資が身近になってきたため、必ずしも富裕層ではなくても不動産投資を始める人がふえてきました。
不動産投資すれば、誰でも資産の構成割合の中で不動産の割合がふえていきます。自己資金が不動産に変わるため、現金が減り不動産がふえることが理由です。
不動産の構成割合がふえることは決して悪いことではありません。不動産をある程度持っておけば、インフレ対策や相続対策にもなります。
卵を一つのカゴに盛らないという意味では、資産の中に不動産が加わることは良いことです。
一方で、現金もある程度残しておく必要があります。相続税を納税しているような人たちは、相続対策もしっかり行っている人が多いため、比較的理想的な資産構成をしている人が多いです。
相続財産の資産構成割合は、2016年においては、不動産が4割、現金が3割でした。そのため、不動産と現金の割合を4対3程度の割合で持てれば、理想に近い資産構成ということもできます。
従って、これから不動産投資するのであれば、最終的に不動産と現金を4対3程度の割合で保有することを目指すのがいいでしょう。
まとめ
以上、不動産投資している人の資産状況とその割合について見てきました。不動産や現金、有価証券などはバランス良く持つことを意識するようにしてください。