2019年10月から消費税率が10%へ引き上げられることが予定されています。不動産は元々の価格が大きいため、消費税の増額は購入者への負担を大きくします。
消費税率引き上げに向けて今は買い時なのでしょうか?
そこで本稿では、消費税10%の増税に向けて、不動産購入のベストな時期と対処法について解説していきます。
焦りは禁物
消費税率の8%から10%への引き上げは、元々は2015年10月に行う予定でしたが、その後2017年4月の増税も延期され、今に至っています。
内閣の支持率が低下してきている今、2019年10月からの消費税引き上げも少し曇行きが怪しくなってきています。
「二度あることは三度ある」なのか、「三度目の正直」なのか、見極めは難しいところです。しかしながら、現状では増税はまた見送られる可能性は十分にあります。
そのため、消費税が上がることを見越して不動産を購入するのは、まだ得策ではないかもしれません。
再々延期の可能性は十分にあるため、消費税だけを気にして今購入する必要はないでしょう。消費税とは無関係に、今はまだ低金利なので購入しようという発想のほうが自然といえます。
また、過去においても、消費税前は駆け込み需要があるため、逆に価格が高騰する傾向があります。
増税前が本当に安いとは限らないため、冷静な対処が必要になります。
消費税の基本
不動産の消費税は、建物のみに発生します。不動産は土地と建物から構成されますが、土地に関しては消費税がかかりません。
そのため、同じ5,000万円の物件でも、土地価格が4,000万円、建物価格が1,000万円というA物件と、土地価格が2,000万円、建物価格が3,000万円のB物件では発生する消費税額が異なります。
2018年4月現在では、A物件の消費税は80万円(=建物価格1,000万円×8%)となりますが、B物件の消費税は240万円(=建物価格3,000万円×8% )となります。
つまり、物件価格の内訳で、土地価格の割合が大きい物件では、消費税の影響が少ないということがいえます。
例えば、都内の築古物件では、都内は土地価格が高く築古物件は建物価格が安いため、価格の内訳で土地価格の割合が高くなる傾向にあります。
一方で、郊外の築浅物件では、郊外は土地価格が安く築浅物件は建物価格が高いため、価格の内訳で土地価格の割合が低くなる傾向にあります。
消費税を意識するのであれば、土地価格の割合が大きい物件を購入した方が影響は小さくなります。
非課税業者から購入する
不動産を購入する場合、誰から購入するかという点で消費税の課税の有無が異なります。
消費税は、課税事業者が預り消費税(=仮受消費税)と、支払消費税(=仮払消費税)の差額を納める税金です。8%の消費税を払っている消費者は直接の納税者ではありません。
※消費者が購入した商品は、小売業者が商品を仕入れていますので、商品仕入れの際にかかった消費税(仮払消費税)を、消費者が支払った消費税(仮受消費税)から差し引いて、納税という流れになります。
課税事業者とは、法人または個人に関わらず、年間1,000万円以上の売上のある事業者のことを指します。同じ不動産を売却しても、課税事業者でなければ、消費税は発生しないことになります。
例えば、区分所有のワンルームマンションを1つだけ持っているような個人投資家は課税業者ではないことがほとんどです。このような個人投資家からワンルームマンションを購入する場合、消費税は発生しないことになります。
消費税が10%になったとしても、課税事業者ではない個人投資家から中古物件を購入すれば、消費税を支払う必要はありません。
今後、消費税が上がれば、売主が課税事業者であるかどうかで価格に大きな開きが生じてきます。物件を安く購入したいのであれば、課税事業者ではない個人投資家から購入するほうが良いでしょう。
まとめ
以上、消費税増税に関する不動産の購入タイミングと対処法について見てきました。消費税は本当に上がるかどうかはわからない状況です。焦らずに状況を見極めたうえで冷静に購入するようにしてください。