新築分譲マンションなど不動産価格については、上昇傾向が続いており、売買市長は全国的にも堅調な動きが広がっています。
一方で、同じ不動産でも賃貸市場については、家賃が上がって喜んでいる大家さんは多くはないと思います。
賃貸住宅市場は、好景気の波に乗り切れていない感があります。
国内の賃貸住宅市場は今後どのようになっていくのでしょうか。
そこでこの記事では2018年における日本の賃貸住宅市場について予測していきます。
売買市場と賃貸市場は別物
元々、売買市場と賃貸市場の波は別物です。過去の統計からみても、賃貸市場のピークは売買市場のピークよりも遅れてやってきます。
賃料は、不動産の価格が上がった後に、上がるという性質を持っています。
過去の例でみると、国内の土地の価格はバブル時代の1991年がピークを迎えていました。
一方で、賃貸住宅区の家賃動向を示している家賃指数に関しては、1998年がピークです。
あのバブル経済の時でさえ、賃料のピークは価格のピークから7年も遅れて到来しています。
このように賃貸市場は売買市場よりも遅れて動くという性質があります。
今は売買市場が上昇基調にありますが、賃料が上がらなくても不思議ではないのです。
空室率は高止まりしている
では、あと数年待てば家賃は上昇していくかというと、そうとも言い切れない状況です。
賃貸市場に直接影響を与える指数に空室率があります。
民間調査会社(分析:株式会社タス)によると、2018年1月における空室率は東京都が13.30%、神奈川県が16.05%、埼玉県が17.49%、千葉県が16.19%、愛知県が16.29%、大阪府が8.65%、福岡県が10.93%と高い水準で推移しています。
どの都市も空室率は、ここ数年、徐々に増している傾向にあります。
健全なアパート経営の空室率は5%程度と言われていますが、市場では既にそれ以上の空室率となっています。
これだけ空室の多い状況であれば、入居者獲得合戦が続いており、賃料は上がるどころか下がる要素のほうが強いということができます。
各主要都市で空室率が高止まりしている背景には、人口減少と供給過剰の問題があります。
日本は2010年から人口減少に突入しましが、2015年には相続税法が強化されたことに伴い、ここ数年アパート建築が増加しました。
かつてのバブル時代には見られなかった社会的背景もあり、ひょっとしたら今回は土地価格が上がっても家賃は回復しないおそれがあるのです。
現に、全国の家賃指数に関しては、1998年より一貫して下がり続けています。
その間にリーマンショック前の好景気もありましたが、家賃指数は一度も上がることなく推移しています。
ここ数年の高い空室率を見る限り、今回の好景気も家賃上昇には至らずに終わるおそれも十分にあります。
2018年の賃貸住宅市場
このような状況から、2018年の賃貸住宅市場は劇的に良くなっていく様子ではないかもしれません。
建物オーナーとしては、引き続き空室対策や入居者維持活動に励む必要があります。
お客様をいかに集め、リピーターになっていただくかという点に関しては、アパート経営も他のビジネスと変わらなくなってきました。
同じビジネスでも、やる気のある社長の会社は伸びていきますので、今後は、アパートオーナーにますます「経営感覚」が求められます。
アパート経営も、満室経営を続けている一部の勝ち組大家が現れるようになってきました。
アパート経営者には、積極的に経営にかかわっていく姿勢がますます求められています。
まとめ
以上、2018年の賃貸住宅市場を予測してみました。人口が集中する主要都市に物件を構えている方でも、引き続き空室対策と入居者維持活動に励むようにしましょう。