世の中には不動産投資と聞いてネガティブな印象を抱く人も少なくありません。悪いイメージの原因には、セールスマンによる強引な勧誘や、怪しいセールストークがあることも多いからです。
これから不動産投資をするのであれば、怪しいセールストークに惑わされずに、しっかりと知識を身につけてから投資する必要があります。
そこで、この記事では不動産投資の怪しいセールストークについて解説します。
セールストークにはおかしなものも多い
不動産業界では、定番のおかしなセールストークがあります。例えば、マンションデベロッパーが言う「賃貸よりも購入したほうが安いですよ」というセールストークです。
このセールストークはよく考えたらおかしいです。住宅ローンよりもさらに安い賃貸物件へ引っ越せば、購入よりも賃貸のほうが安いはずです。そのため、「賃貸よりも購入したほうが安い」というセールストークは正しいようで正しくありません。
不動産投資にもこれと似たようなおかしなセールストークがあります。
不動産投資は節税になる?
一番おかしいのは、「不動産投資をすると節税になりますよ」というセールストークです。確かに、不動産所得が赤字になるような投資を行うと、結果的に節税になることはあります。
しかしながら、わざわざ最初から赤字になるような不動産投資はやるべきではありません。投資は儲けるために行うのが普通であり、赤字になるような不動産投資をわざわざするのは変です。
節税を理解するには、損益通算や減価償却費、借入金元本返済等々の知識をしっかりと知る必要があります。
個人がアパート投資等を行って得られる収益は、不動産所得と呼ばれます。空室等が多く、不動産所得がマイナスなら、そのマイナスを給与所得とぶつけて全体の所得を減らすことができます。これを損益通算と呼びます。
不動産所得を計算する上では、実際の支出がない減価償却費も費用として認められるため、減価償却費によって不動産所得が赤字となることがあります。ただし、借入金の元本返済は費用には含まれません。
もし、借入金の元本返済が減価償却費以上の金額となっている場合、不動産所得が赤字なら実際のお金の手残りもマイナスとなります。キャッシュフローがマイナスであれば、やればやるほど損をするため節税どころの話ではありません。
自己資金ゼロでも不動産投資ができる?
危険な香りがするのは、「自己資金ゼロでも不動産投資ができますよ」というセールストークです。
もし本当に自己資金ゼロで不動産投資をやってしまったら危険です。手元に自己資金がない人にとって見ると、聞こえの言いセールストークですが、それを妄信して投資するのは良くありません。
そもそも、不動産投資では自己資金に対する利回りを上げるために借入金を使います。これをレバレッジ効果と呼びます。
レバレッジ効果とは「てこ」という意味です。レバレッジ効果とは、100%の自己資金で投資するよりも借入金を使うことで大きな利回りを手にすることができるという効果です。
あくまでもスタートは自己資金ありきであり、その自己資金の利回りをいかに伸ばすかという目的のために借入金を使います。決してお金が無いから借入金を使うわけではありません。
また、資産家の方は相続対策で借入金を使います。借入金はマイナスの資産であるため、全体の相続財産を減額する効果があります。そのため、相続税の節税効果も生みます。お金を持っていないから借入金をするわけではありません。
通常、プロの機関投資家でも自己資金は30%程度の用意をします。経験や情報量の少ない個人投資家であれば、本来はもっと自己資金を積み増すべきです。自己資金ゼロでも投資ができるというセールストークは、とてもリスキーな誘い文句です。
まとめ
以上、不動産投資のセールストークについて見てきました。セールストークには踊らされず、しっかりと知識を身につけた上で、投資の判断をするようにしましょう。