自己資金をいくら貯めてから不動産投資を始めるべきかというのはよく議論されるテーマです。自己資本が大きいほど、安心して投資に取り組めますが、資金を貯めるのには時間がかかります。
不動産投資を始める前には、なぜ、どのくらい自己資金を用意するのがいいのか、いろいろな側面から確認しておくことが大切です。
「0円でいい」は本当か
マガ男:アパート投資を始めるにあたって、自己資本をいくら用意すればいいのか悩んでいるんです。
タテ吉:自己資本はたしかに、アパート投資の成否を決める大きな条件だから、注意深く考えたほうがいいよ。
マガ男:よく、「0円でも大丈夫」という情報を耳にするんですけど、本当でしょうか?
タテ吉:すべての資金を融資で賄えるから、ということだね。物件を購入する際には、物件の代金に加え、各種手続きに必要な費用や税金――いわゆる諸費用がかかる。通常、金融機関が融資してくれるのは物件代金分だけだが、中には諸費用まで含めて融資してくれるところがあるのは事実だ。
マガ男:だとしたら、0円で始められるということで、間違っていないんですね?
タテ吉:ただし、始められることと成功することは別だ。自己資金0円で不動産投資を始めるのはかなりリスクが大きいことを知っておくべきだよ。
自己資金が大きいほど不動産投資は安全
マガ男:自己資金なしで始めるのは、そんなに危ないのでしょうか?
タテ吉:そもそも、不動産投資における失敗というのはキャッシュアウトしてしまうことを意味する。家賃収入で支出を賄えなくなったら、本業の給与収入などで穴埋めをしなきゃいけない。
マガ男:その状態があまりにひどくなると、耐えきれずにデフォルトしてしまうということですよね。
タテ吉:支出の中でもっとも大きな割合を占めるのは借入の返済だ。自己資金が多いほどこの額が小さくなるから、失敗するリスクを抑えられるんだよ。極端な話をすると、「融資を利用せず、自己資金だけで購入できる資産家は絶対に失敗しない」という専門家もいるよ。
自己資金作りに時間をかけすぎるのもNG
マガ男:それじゃあ、やっぱりなるべく大きな自己資金を作ってから不動産投資に取り組むのが正解ということなんですね?
タテ吉:いや、実はそうとも言えないんだ。
マガ男:今までのお話だと、時間をかけてお金を貯めてからのほうがリスクを抑えられるということでしたが、違うんですか?
タテ吉:自己資本作りを頑張れば、たしかにリスクは抑えられるけど、お金を作るのに要する時間の分、収益を得られる機会は小さくなってしまうという問題があるんだ。
マガ男:なるほど。不動産投資の家賃収入は物件を購入してから時間が経つごとに積み上がっていくので、早くに始めるほど大きな収入が見込めるということですね。
タテ吉:そのとおり。不動産投資においては「時間」は収益に直結する要素であり、早くに始めれば、より大きな資産を築きやすくなるんだ。
諸費用プラスアルファが理想
マガ男:うーん、バランスが難しいんですね。自己資本が小さすぎるとキャッシュアウトする不安があるし、大きな額を用意するためには時間がかかるし……。
タテ吉:そのあたりは、人それぞれの投資スタイルに合わせて考えるのがいいだろう。ただ一般的には、購入時の諸費用を賄った上で、ある程度の手元資金が残る程度の自己資金を用意するのがいいと言われているよ。
マガ男:たしかに、そのくらいの資金がないと、いざという時に不安ですね。
タテ吉:空室リスクは物件選びなどである程度抑えられるが、給湯器の故障など小さなトラブルが起きることはあるからね。そんな時にも自己資金があれば安心できるはずだ。
マガ男:そのくらいの資金を貯めるのに時間はかかりませんし、貯金している間は不動産投資について勉強するのがよさそうですね。
まとめ
マガ男:あらためて教えていただいて、自己資金についての考え方が理解できました。
タテ吉:要はリスクと利益のバランスをどう取るか、ということだね。不動産投資全般についても言えることだから、最初にお金を貯める段階で考えておくことには大きな意義があるよ。