アパート投資には月々の家賃収入が得られることや、ローンの返済が進めば資産が形成できることなど大きなメリットがありますが、さらに注目されているのが節税のメリットです。
特に経費が認められないサラリーマンの場合には本業の収入が100%近く課税対象になるという問題があります。不動産投資を手がけることで、この本業に対する所得税や住民税などを節税できるのです。
アパート投資の収支は本業と通算できる
マガ男:年末調整でちょっとだけ還付があったんですけど、考えてみたらぼくみたいなサラリーマンは経費がほとんど認められないんですよね。
タテ吉:自分もかつてはサラリーマンだったからよくわかるよ。スーツや靴などの衣類や昼食代だって仕事のために必要なのに、サラリーマンは経費として認められないから所得のほとんどが課税対象になってしまうんだよな。
マガ男:なんとかならないものでしょうか?
タテ吉:実は不動産投資を手がけると、本業との通算ができるから、大きな節税効果が生まれることがあるよ。
マガ男:でもそれって、不動産投資で得た収入を節税できるということですよね?
タテ吉:そうではない。何からどのように得たかにより、所得は10の区分に分けられているんだ。でもって、不動産投資で得られる収益は不動産所得もしくは事業所得に分類される。サラリーマンが本業で得る給与所得はこれらと損益通算できるんだ。
マガ男:不動産投資で赤字が出ると、本業の所得については、その分を差し引いた額が課税対象になるということですか?
タテ吉:その通り。ちょっとややこしいけど、なにもキャッシュフローが赤字である必要はない。経費をうまく計上して、「帳簿上の赤字」になったら、所得税を節税できるんだ。
さまざまな経費が計上できる
マガ男:不動産投資でそんなにいろいろな経費を計上できるんですか?
タテ吉:不動産投資は一つの事業のようなものだから、関連する出費の大半を経費にできる。たとえば管理費、修繕積立金、損害保険料、租税公課、借入利子、減価償却などの経費があり、全部合わせると家賃収入を上回る額になることが少なくない。
マガ男:なるほど! 他にも経費にできる費用はありますか?
タテ吉:物件の管理に要する交通費や通信費、不動産投資について学ぶための新聞・図書費なども経費として計上できるよ。
マガ男:サラリーマンと違って、ずいぶん広く経費が認められるんですね。
帳簿上のマイナスを生む減価償却
マガ男:とはいっても、実際に赤字になるんじゃ困りますけど、そのあたりは大丈夫なんでしょうか?
タテ吉:ちょっとややこしい言い方になるが、帳簿上の赤字とキャッシュフローの赤字は意味が違うから大丈夫だよ。経費の中でもっとも大きな割合を占めるのは減価償却費なんだ。
マガ男:建物と設備の購入コストを分割して償却するわけですね。
タテ吉:その通り。物件の価値を残存耐用年数で分割して毎年、費用として帳簿に記載できるんだ。物件の構造や築年数などにより、償却年数が異なるので、毎年ごとの償却費用は物件の取得価格に償却率をかけて求められる。
マガ男:償却率というのは?
タテ吉:簡単にいえば、耐用年数の間、一定額を償却できるよう、国税庁が発表している割合のことだ。たとえば新築の木造アパートなら0.046となっている。
マガ男:ということは、建物価格が3000万円の木造アパートなら、毎年138万円を経費として計上できるというわけですね。
タテ吉:新築の場合には設備を別立てにして15年で償却できるので、もう少し多くなるよ。いずれにしろ、この減価償却費は手元から出て行いくコストではないのに、帳簿上は大きなマイナスを生み出す効果があるんだ。
マガ男:そのマイナスを本業の給与収入とも損益通算できるということなんですね。
青色申告や事業規模でさらなる節税が狙える
マガ男:損益通算をする場合には、やっぱり確定申告が必要なんですよね?
タテ吉:不動産投資を手がけると、不動産所得や事業所得を得ることになるので、毎年の確定申告は欠かせないよ。ちょっと面倒に思えるかもしれないけど、その分大きなリターンがある
マガ男:白色と青色があると聞きましたけど、不動産投資の場合にはどっちがいいんでしょう?
タテ吉:以前は手間がかからないということで白色を選ぶ人も多かったけど、最近では白色でも記帳や帳簿保存が求められるようになったので、手間はそれほど変わらないといえる。青色にすれば10万円の青色申告控除や専従者給与控除(家族に支払った給与が一定額まで控除される制度)が受けられるから、お得なことが多いよ。
マガ男:先ほどから不動産投資の収益は不動産所得もしくは事業所得だと聞きましたが、どちらに区分されるのかはどのようにして決められるんですか?
タテ吉:所得区分は規模によって判断される。事業規模とみなされるのは一戸建て5棟もしくは集合住宅10室以上を保有する規模だ。それ以下は不動産所得ということになる。
マガ男:規模の大きい事業所得になると、なにかいいことがあるんでしょうか?
タテ吉:事業所得の場合には、65万円の青色申告控除が受けられるほか、専従者給与控除などが受けられるよ。
まとめ
マガ男:サラリーマンにはほとんど節税方法がない中、不動産投資は唯一、合法的な節税方法だといえそうですね。
タテ吉:そうだね。大きな節税効果を生み出すものであり、所得額が大きい人にとっては家賃収入と並ぶほど大きなメリットをもたらすこともある。申告方法や保有する不動産の規模によっても節税効果が違うので、詳しくは専門の税理士等に相談してみるのがおすすめだ。