不動産投資に限らず、株やFXなどの投資には「ROI (Return On Investment=リターン・オン・インベストメント)」という収益性を図る指標があるのをご存じでしょうか。もし1,000万円の資金が手元にあった場合、「投資収益率」などと訳される「ROI」を理解していれば、その1,000万円は最も効率的に運用できるでしょう。
このコラムでは「ROI」という指標について考えてみます。
同じ運用益で資金1,000万円を有効活用するには
たとえば、資金1,000万円を投資するとします。年間の運用益が100万円の投資商品Aと運用益200万円の投資商品Bでは、投資商品Bのほうが多くのリターンが期待できるため、シンプルに「投資効率が良い」ということになります。
もちろん、投資は必ず期待どおりの成果が得られるというものではありません。投資商品Bには、投資商品Aにはない大きなリスクが潜んでいるかもしれません。一般に資産運用においてリスクとリターンは正比例の関係にあるといわれ、リターンが2倍ならば損失を被るリスクも2倍になります。
運用方法次第で、低いリスクで高いリターンが得られるケースもありますが、基本的にはリターンがより高い投資商品で資産運用したほうが、資金をより有効活用できます。
次に、リターンが同じ場合の効果的な資金運用について考えてみます。投資商品が1,000万円で、リターンが年間100万円の商品があるとします。この投資商品をすべて現金で1,000万円購入した場合、10年で投資資金が回収できる計算になります。
仮に自己資金100万円、銀行から900万円を20年ローンで借り入れしたらどうなるでしょうか。金利を考えないものとした場合、毎年の返済額は45万円となり、毎年の運用益は100万円から返済額の45万円を差し引いた55万円になります。この場合、実際には100万円の自己資金で毎年55万円の運用益を上げていることになり、約2年で資金が回収できる計算です。
同じ投資商品でも、自己資金で運用するか借入金で運用するかによって全く違う結果になります。いうまでもなく、後者の「900万円を借り入れして運用」のほうが返済リスクは残るものの、投資した資金を早期に回収できるだけでなく、余った資金900万円をほかの投資商品にまわすことが可能になり、自己資金をより有効活用できます。
ROI(Return On Investment)とは
冒頭でご紹介した「ROI」とは、「投資した資本に対して得られる年間利益の割合」のことをいいます。
たとえば、100万円を投資して年間の利益が20万円ならば、ROIは「年間利益÷自己投資資金」×100で20%となります。言い換えると、年間20%ずつ資金を回収するので、5年で投資資金を回収できるという意味にもなります。
ROIが大きければ大きいほど、自己資金を有効に活用していると考えることができます。これは、投資した資本を可能な限り早く回収して、ほかの投資先へお金をまわして投資効率を上げられるからです。
世の中の投資商品で不動産投資が最も投資効率が良い
このROIの考え方を踏まえると、世の中に星の数ほどある投資商品を評価するとき、最も投資効率が良いのは「不動産投資」といえます。不動産投資は、銀行融資という他者の資本を用いて、少額の自己資金で高額の投資商品に投資できるからです。このような資産運用は株式投資やFXではできません。
ROIを限りなく大きくするには、投資資金に対していかに銀行融資などの他人資本比率を高めるかがカギになります。つまり、他人資本を用いてどんどん投資金額を上げることで大きな資産形成ができるのが、不動産投資なのです。
ROIのデメリット
なお、ROIの考え方にはデメリットもあります。ROIは自己資本回収率の指標としては大変参考になるものの、あくまでもある一時点での家賃収入や金利を用いて計算する指標です。したがって、経年による家賃下落や金利の上下動によって、不動産投資におけるROIは変動することに注意しなければなりません。
また、ROIが高ければ高いほど投資効率が良いと紹介しましたが、投資の安全性は別の問題です。他人資本を使うということは、つまり借金をするということです。そのため、金利や返済リスクについて十分に考えたうえで投資する必要があります。
本稿では自己資金を有効活用するためのROIという指標の考え方について紹介しました。あらゆる投資商品は、ROIを計算することでその投資選択が効率的なのかどうかが判断できます。なかでも不動産投資はROIが高く、投資効率の良い投資方法でしょう。
もちろん、ROIが高いほど借入金の比率が大きいということであり、資金のリターンを効率良く運用できるメリットがある半面、より大きな返済リスクを背負うことになります。そのバランス感覚が大切で、それを十分に考慮した人こそが手持ちの資金を最大限に活用した投資ができるようになるでしょう。