大手企業や老舗企業などで、「副業OK」を明言するなど、従業員が本業以外に収入源を持つことを容認する会社がふえています。その一方で、いまだに従業員の副業を禁止している企業も少なくありません。
そこで今回は、家賃収入などで収益を得る不動産投資を、サラリーマンが副業として行う際のポイントや注意点について解説します。
サラリーマンが不動産投資するメリット・デメリット
まず、会社で働くサラリーマンが副業として不動産投資するメリット・デメリットを、それぞれ2つ紹介しましょう。
●不動産投資のメリット
メリット1. 本業に問題が起きても金銭的に困らない
会社の倒産、突然のリストラ、あるいは職場環境に不満で自ら辞めるなど、会社で仕事が続けられなくなると、収入が激減し生活に困るおそれがあります。しかし、不動産投資で家賃収入を得ていれば、本業で万が一のことが起きても、生活に困るリスクを回避できます。そうなると、本業でも心にゆとりを持って取り組むことができるでしょう。
メリット2. 融資を受けやすい
不動産投資では、銀行など金融機関から融資を受けることが多くなります。自営業やフリーランスなどに比べると、会社員は「属性」が高く、融資を受けやすい傾向にあります。特に、同じ会社に長く勤めていたり、勤務する会社の規模が大きかったり、役職に就いていたりする場合は、評価がさらに高くなるでしょう。
●不動産投資のデメリット
デメリット1. 対応に時間がかかる
入居者からの苦情対応、物件のメンテナンス、家賃の受け取りなど、賃貸経営には手間や時間がかかります。会社に勤めながら、それらをすべて自分でしようとすると大変です。本業に悪影響をきたすおそれもありますので、ある程度の業務は管理会社に任せるなど、本業に影響しないような工夫が必要です。
ただ2018年現在では、入居者や管理会社とチャットでコミュニケーションが取れる等といったIT技術が生まれてきており、今後この問題は解決すると言えるでしょう。
デメリット2. 空室リスク
所有物件が空室になると、当然そこからは家賃収入が得られません。長期間、空室のまま入居者が決まらなかったり、決まったばかりの入居者が短期間で出てしまったりするリスクもあります。会社員という本業の傍ら、空室への客付けを行うのは相応の努力と時間を要します。
会社が社員の副業を禁止する主な理由
そもそも会社は、なぜ従業員の副業を禁止するのでしょうか。一番の理由は「本業に支障が出るおそれがある」と考えるからです。業務時間中に副業をする懸念もありますし、休日も副業のために十分な休養が取れず本業のパフォーマンスが落ちることも考えられます。
また、本業で得た内部情報などを副業に利用されてしまうリスクもあります。たとえば、IT企業に勤務する会社員がIT関係の副業を行う場合に、本業で知り得た情報を利用するかもしれません。大事な内部情報が外部に漏れてしまえば、それこそ本業を脅かす大きな問題になりかねません。
副業禁止の会社で不動産投資する際の注意点
さて、副業を禁じている会社に勤めていながら不動産投資する場合には、以下のことに注意しましょう。
●社内の人に不動産投資のことは話さない
たとえ親しい間柄であっても、社内の人に自分が不動産投資をしていることは話さないようにしましょう。相手に悪気がなくとも、会話のはずみで知られてしまったり噂になってしまったりすることがあります。
不動産投資は資産運用ですから本来は副業に該当しませんが、あまりに規模が大きくなると副業とみなされる場合があります。要らぬ誤解を招かないためにも、余計なことは外に漏らさないほうが良いでしょう。
●確定申告の住民税を「普通徴収」に
年間の所得が20万円以上の場合、サラリーマンであっても確定申告が必要です。その際、住民税の徴収方法について「普通徴収」か「特別徴収」を選択しますが、必ず「普通徴収」を選び不動産所得にかかる住民税を自分で支払いましょう。
ちなみに、「特別徴収」を選ぶと会社に納税通知書が届き、あなたが不動産投資で収入を得ていることが知られてしまいます。会社に手間をかけさせるのではなく、自分で処理するほうが得策です。
就業規則をチェック
副業禁止の規定がある会社でも、不動産投資は資産運用ですから本来は認められるべきです。それはアルバイトとは明らかに異なるからですが、親の所有する不動産(財産)を相続して賃貸収入を得るようなケースは、果たして副業にあたるのでしょうか。
答えは、会社によって「副業」の定義は異なるため、不動産投資をはじめる前に就業規則を事前にチェックして、確認することをおすすめします。副業禁止の規定がなければ不動産投資することは全く問題ありません。規定がある場合は、総務課に「不動産投資は副業にあたるかどうか」を確認してみましょう。副業禁止の会社に勤めていても、それでも「不動産投資したい」という人は、上述のような点に注意しましょう。