不動産投資は、株などの金融商品への投資とは異なり、物件を購入して終わりではありません。所有物件をうまく運営するためには、管理会社など多くの人たちと協力しなければならず、コミュニケーションが必要不可欠となります。つまり、経営者としての資質や人格も試されるのが不動産投資なのです。
不動産大家の中には、誰からも好かれる人もいれば、残念ながら嫌われる人もいます。しかし、円滑な関係を保つうえでも、嫌われない大家であることは、当然ながら経営をしていく中では大切なことといえるでしょう。今回は嫌われる大家の特徴5つについて考え、スムーズな不動産経営の参考にしてみましょう。
こんな大家は嫌われる1. せっかちで何かと細かい
細かい仕事がきちんとできることは、とても良いことです。ただ、あまりにせっかちで細々している大家は嫌われる対象となります。たとえば、換気扇を交換するにも「工賃はいくら?」「どんな材料を使っているの?」などいろいろと細かく尋ね、挙句の果てにインターネットで同じ製品を調べ上げて、「ネット通販なら、こんなに安い」と文句をいう大家もいます。
管理会社側も、ネット通販を使えば安く買えることなど百も承知です。しかし、設備業者に依頼し、人件費なども発生するため、ある程度のコストが掛かることは仕方がないことといえます。物件管理に限りませんが、「あと出しジャンケン」のように、あとからあれこれ文句を言うのは控えたほうがいいでしょう。
また、「早く空室を埋めてほしい」からと、毎日のように電話をかける大家もいます。もちろん、気持ちはわかりますが、管理会社の担当者も人間です。あまりに催促されると、やる気が出るどころか、モチベーションが下がってしまいます。「急いては事を仕損じる」ので、心にゆとりを持つように心掛けることをおすすめします。
こんな大家は嫌われる2. 何でも業者のせいにする
物件購入後、入居者がなかなか決まらないと販売業者のせいにしたり、家賃を滞納する借主が入居したら管理会社のせいにしたり、何でも業者のせいにする大家もいます。また、管理会社の提案やアドバイスがうまくいかなかったとき、管理会社にすべての責任を転嫁する人もいます。
うまくいかなかったことは残念ですが、管理会社も勝手にしたわけではありません。あらかじめ大家と相談して事にあたっています。どのような投資でも、最終的に契約書に押印するのは投資家であり、それは不動産投資も同様です。投資の最終責任は管理会社ではなく、やはり大家にあります。ましてや円滑なコミュニケーションが求められるのが不動産投資です。責任をなすりつけあっていては、うまくいくこともいかなくなってしまいます。
こんな大家は嫌われる3. 自分の知識をひけらかす
多くの不動産会社は、これまで数多くの物件を見てきています。その数といえば、ごく一般的な大家の何十倍、何百倍でしょう。その時点で、不動産会社と大家の知識と経験の間には圧倒的な差が生じています。
一生懸命に勉強し知識を習得することは間違いではありませんが、自分の知識をひけらかしては不動産会社とのパートナー関係が悪くなるおそれもあります。不動産会社が持っている新しい有益な情報を得られるチャンスを逃すことにもなりかねないため、知識自慢は控えたほうがいいでしょう。
こんな大家は嫌われる4. 連絡が取りにくい(レスポンスが悪い)
不動産経営はサービス業です。連絡がすぐに取れない大家は、仲介会社との信頼関係が遠のいていきます。特に内見は土・日や休日が勝負です。入居候補者が内見を希望しても連絡が取れなければ他の物件を優先され、後回しにされるかもしれません。
また、融資を受ける際、銀行等はさまざまな資料を求めてきます。それらの準備や対応がきちんとできるかどうかも、不動産経営者としての大切な要素です。連絡や対応ができない人は不動産会社だけでなく銀行からも信頼が遠ざけられるおそれがあります。
ただ2018年現在では、入居者や管理会社とチャットでコミュニケーションが取れる等といったIT技術が生まれてきています。不動産にIT技術が本格的に導入されており、連絡が取りにくいという問題は解決に向かうと言えるでしょう。
こんな大家は嫌われる5. 「説教」「ダメ出し」「本来の業務以外のことをお願い」
「不動産会社は下請け」という意識からか、年配の大家の中には、年下の担当者を「下」に見てしまい、説教やダメ出しをしてしまいがちです。しかし、何度も述べているように不動産会社は賃貸経営のパートナーであり、円滑な関係を築くことがとても大切です。
中には管理会社に対して、本来の業務とはかけ離れたことをお願いする大家もいます。勝手に「付帯業務だ」と解釈して、何でもかんでもお願いするのはやめましょう。
「自分が良ければすべて良し」ではいい関係が築けない
今回は「嫌われる大家」の特徴を紹介しました。これらに共通するのは、「自分が良ければそれで良し」という考えではないでしょうか。
不動産投資ではさまざまな人や会社が関わります。大家にとって、不動産会社は賃貸経営のパートナーですから、オーナーとしてはコミュニケーションをしっかり取り良い関係を築き上げる努力が必要です。また、不動産業界は想像以上に義理人情に厚い世界です。相手を思いやる行動が良い結果をもたらすでしょう。