近年、手軽にできる不動産投資として人気を集めている不動産投資型クラウドファンディング。今では取扱会社も十数社以上となり、「どの会社を選んで投資をすればいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。投資先を選ぶ際に、収益性が大切なのは間違いありませんが、それと同時に運営会社の安全性も非常に重要です。そこで今回は、数ある不動産投資型クラウドファンディング会社の中から、失敗しない会社を選ぶうえで、注意すべきポイントについてお伝えします。
1. バックボーンが強固な会社
運営会社の安全性を判断するポイントの一つは、「資本力の大きな会社がバックについているかどうか」という点です。例えば、「クラウドクレジット」は伊藤忠商事が資本を投じています。 「SBIソーシャルレンディング」は金融系大手のSBIグループの一員です。「TATERU Funding」は、東証一部上場の株式会社TATERUが運営しています。
これらのように、知名度があり、規模が大きく、資本力があると、安定的な経営が期待できますし、同時に、法令遵守(コンプライアンス)に対する意識が高く、経営において違法行為が行われるリスクが非常に低くなります。
不動産投資型クラウドファンディングにおいて、貸し倒れ以上に大きな損失を被るケースというのは、運営会社が倒産してしまったときに起こります。不動産投資型クラウドファンディングでは、信託保全(投資資金を信託銀行に託すことで万一の際も投資家の投資資金が守られる仕組み)を採用していないところもあり、運営会社が倒産すれば、投資していた資金を一気に失うおそれがあるのです。
この世の中に、「絶対」はありませんが、親会社や運営会社自身が、規模も大きく、資本力があるのであれば、最悪の事態に陥るリスクはより低く抑えることができると言えるでしょう。
2. 過去の運営実績を重視する
国内の不動産投資型クラウドファンディングが一般的になってきたのは、ここ数年です。それだけに不動産投資型クラウドファンディングの運営会社も、社歴が浅く、まだ未成熟の業界といえるでしょう。創成期に不動産投資型クラウドファンディングを始めた「maneo」は2007年8月の設立と、ようやく10年が過ぎたところなのです。
スタートしたばかりの業界とはいえ、各社は過去の不動産投資型クラウドファンディングの運営実績や投資額実績を公表しています。それは、収益力や安全性を判断する上で、大切な指標です。必ず内容を確認し、比較・検討したうえで投資先を決めましょう。
3. 成長力のある会社を選ぶ
不動産投資型クラウドファンディングを選ぶうえで、もう一つ重視したいのが、運営会社の成長力です。
その勢いを示す一つの指標は、「上場企業かどうか」ということでしょう。証券取引所に上場し、多くの人たちから出資を集めることができたということは、会社としての組織が整い、きちんと事業計画を遂行する能力があり、経営も当然うまくいって、成長過程にあることの証左なのです。ですので、運営会社が上場しているかどうかは、重要な判断指標と言えます。
また、投資家から出資状況やその推移も参考にしましょう。不動産投資型クラウドファンディングの運営会社の中には、毎年5億円以上の資金を継続して集めているところもあります。ファンドの数や投資家のサイト登録数が順調に推移しているからこそ、それだけの金額を集められるのです。
登録会員数を公表している会社はごくわずかですが、これまでに集めた資金総額を公表している会社は多くあります。例えば、月初にその金額を定点観測して、順調に成長しているどうかを確認してみてはいかがでしょうか。
収益性を取るか、安定性を取るか
投資先の選定、リスク分散の方法など、いかなる投資においても、正解は一つではありません。上述したような不動産投資型クラウドファンディングは、安定性では優れているかもしれませんが、利回りや収益性では、他の運営会社に劣っている可能性もあります。しかしその一方で、安定性の高いクラウドファンディングで、確実に利益を積み重ねるという選択も間違いではないのです。
クラウドファンディングにおいても、ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンという投資の原則は有効です。自分が投資において何を求めるのか。上述したような各社の安定性や収益性などのポイントに注目しながら、自分が求める投資を不動産投資型クラウドファンディングで実現してみてはいかがでしょうか。