最近、不動産投資に関するクラウドファンディングが増えています。日本国内の不動産に限定したもの、民泊物件を運営してそれを担保にしたもの、アメリカの不動産を担保にしたもの……など、種類も多様化しています。さまざまなファンドの中から、自分の投資先を選ぶ時に、いったい何を重視すれば良いのでしょうか。そこで今回は、各種ファンドの特徴やリスクについて考えてみましょう。
1. アパート経営に対するクラウドファンディング
少額から投資が可能で、人気が高いのは、アパート経営に関するクラウドファンディングです。
投資家は比較的少額から出資(1口100万円など)が可能で、クラウドファンディング業者は、集まった資金をもとに、アパート経営を行います。そして、アパートから得られる家賃収入を投資家に定期的に分配します。投資家にとっては、アパートを管理・運営する手間がかからず、不動産のプロに、物件を任せられるので、自分で物件を購入し、アパート経営するよりも、収益性や安定性が高いというメリットが受けられます。
自分でアパートを建てるとなると、最低でも数千万円単位の初期投資が必要になります。一方、アパート経営のクラウドファンディングは、1口100万円から投資できるのです。まとまったお金が用意できない人でも、不動産投資が可能になります。
クラウドファンディングと言っても、通常のアパート経営と同様に、物件の立地や設備が重要です。対象物件の住所や設備の詳細といった情報は公開されるので、物件エリアの人口動態や周辺環境、交通アクセスなど、自分で確認できます。自分自身でもクラウドファンディングの中身を見極めて、投資するようにしましょう。
2. 不動産を担保にしたクラウドファンディング
不動産を担保にしたクラウドファンディングも人気があります。ファンド運営会社が、事業資金を必要としている会社などに集めたお金を融資して、その担保に不動産を設定するというケースが増えています。不動産を担保にしたファンドの人気が高い理由は、貸し倒れが起きた時でも、不動産を売却すれば、融資した資金を回収しやすいからです。東京23区内の不動産が担保であれば、価格の下落リスクも少なく、万が一の事態に陥っても、不動産を売却することで投資家への返済原資が用意できます。
ただし、すべての不動産担保が高い評価額であるとは限りません。地方物件などが担保に設定されているファンドには、それなりに価格下落リスクがあると考えるべきですし、担保の順位が何位に設定されているかという点も重要でしょう。担保順位が1位でない場合は、担保を売却しても、全額回収できる保証はありません。担保を無条件に信用して投資するのではなく、自分でも担保となった不動産の立地、現在の評価額、担保順位などを確認することをお勧めします。
3. 海外不動産を担保にしたクラウドファンディング
日本国内で不動産に投資するクラウドファンディングの運営業者は、主なもので20社程度と言われています。各社の特徴は、それぞれで異なり、その中には、海外不動産を担保にしたクラウドファンディングもあります。
海外不動産を担保にするというと、国内不動産よりも担保物件の情報を集めにくいため、安全性や確実性に不安を抱く人も少なくないはずです。もちろん、運営会社もその点は承知していて、例えば、世界的に知名度の高いアメリカの不動産審査会社を利用して、不動産評価の信頼性の高さをしっかりとアピールしています。海外不動産だからといって、投資対象として検討しないというのは杞憂に過ぎると言えます。
もちろん、海外不動産ならではのリスクも存在します。一つは、為替相場の変動リスクです。投資した時よりも急激に円高が進行した時に、その担保物件を売却し日本円に換算したら、物件の価値は大幅に下がってしまうことになります。また、海外の場合は、日本では想像もできないような天候災害に見舞われる可能性が有ります。例えばアメリカなどでは、大規模なハリケーンが起きて不動産物件が甚大な被害を受け、価値がなくなるということもあり得ます。海外不動産ならではのリスクは、出資する前に把握するようにしてください。
不動産投資ファンディングの特徴やリスクについて紹介しました。クラウドファンディングは、比較的少額から始められることが大きなメリットです。ただ、上述した通り、各ファンドの形態によるデメリットも存在しています。メリットを活用するためには、各ファンドの特徴を把握し、自分自身で分析し、例えば、種類の異なるファンドに分散投資することで、リスクをできる限り回避するような努力も必要です。ぜひ、自分なりに研究をしてみてください。