各家庭や会社の収納スペースに入りきらない物品などを預かる、トランクルーム投資が人気です。家に物を置かないライフスタイルが流行する中、市場規模の拡大が続いています。
アパート投資などの不動産投資との相性も良く、賃貸物件のオーナーにとって要注目のビジネスです。
ファンド立ち上げも! 拡大するトランクルームビジネス
空いている空間を倉庫として貸し出し、個人や法人の荷物を預かるトランクルームビジネスは、アパートやマンションなど居住用の物件に比べて、水回りなどの生活用設備が要らないため初期投資がそれ程かかりません。また、清掃などの維持管理費も抑えられるというメリットがあります。
トランクルームを運営するキュラーズ社の調査によると、2016年時点での市場規模は510億円にのぼります。同社では需要はさらに拡大すると予想しており、2020年には700億円を超えるとの試算もあります。
成長性が高く安定的な収益が見込めることから、2018年に入ってトランクルーム投資をファンド化する動きも報告されています。トランクルーム大手エリアリンク社とりそな銀行、長谷工不動産投資顧問社は、2018年3月にファンドの立ち上げを発表しました。同ファンドでは賃料収入を配当に充てることを予定しています。
エリア、年代を問わず根強い需要
トランクルームビジネスには、需要がエリアにあまり影響されないという利点があります。都市部では一般的に住まいのスペースが小さく、収納が少ないため、トランクルームには底堅い需要が見られます。
物を置かない生活スタイルもあり、普段使わないレジャー用品や特定の季節にしか使わないアイテムなどはトランクルームに預けるライフスタイルが広がりつつあります。
一方、郊外では都市部より広い住まいを確保しやすいのですが、その分、物を多く所有する傾向があると言われます。郊外には子育てファミリーが多く、子どものためのアイテムや思い出の品などは容易に処分できず、保有している物品がどうしてもふえがちです。こういったことから、都市部・郊外いずれに設けても一定の需要を見込めるのです。
利用者の年齢層も20~50代と幅広いです。40~50代は特に持ち物が多いため、トランクルームのニーズが高いと言われます。
収益性の低い不動産で利益を生み出す
トランクルームは不動産業の中でも利益率が高いことで知られます。土地の価格は、広さや形、向きなどによって異なります。狭小地や変形地、北向きの土地などは住宅やオフィスとして利用しにくいため、低価格で取引されます。
人が住む場合には快適性や利便性に影響するそういった土地の特徴も、トランクルームの場合には問題になりません。安価で用地を買収できることもあり、高い利益率を確保しやすいのです。
マンションやアパートなどの賃貸物件にトランクルームを設けることで、入居者を募集しやすくなるという利点もあります。賃貸物件に設置されている収納スペースは一般的に小さめです。そのため、どうしても部屋に物が溢れがちですが、トランクルームがあれば居室をすっきり広々と使うことができます。
「お片づけ」がメディアで頻繁に取り上げられていることでもわかるとおり、収納に関心を持つ層が最近ではふえています。トランクルームはそういった人たちに大きな魅力としてアピールできる施設です。
空室をトランクルームに改装するのは比較的簡単で、コストもかからないため、入居率改善を改善するための効果的な一手なのです。
コンテナタイプは相続税対策としても注目
トランクルームの中でも、空き地にコンテナを設置するタイプの物には相続税対策になるという利点もあります。そのため、最近では相続税の節税を目的として、トランクルーム投資を手がける人がふえています。
カギとなるのは減価償却期間の短さです。全長6メートル未満のコンテナは法定耐用年数が3年と極端に短いため、空き地に設置して3年経つと帳簿上の価値は1円にまで圧縮されます。
その後、贈与すれば贈与税はかかりません。また、コンテナが生み出す利益を貯めておけば、相続の際に納税する原資になるため、二重の意味で相続税対策を講じることができるのです。
まとめ
トランクルームの需要と供給は近年、ほぼ一貫して増加してきました。将来性の高いビジネスであり、不況にも強いことが知られているので、不動産投資を手がけているオーナーにとっては検討する価値の高いビジネスと言えそうです。