気象庁では2018年の夏も東日本以西では平年より気温が高くなるという見込みを示しています。屋内ではエアコンが頼りですが、使いすぎると電気料金がかさんでしまいます。
そこでおすすめなのが、植物で窓や壁を覆うグリーンカーテンです。夏に効果を発揮するためには、そろそろ種をまく必要があるので、一度検討してみるといいかもしれません。
夏の風物詩となりつつあるグリーンカーテンとは
夏場になると最近では窓や壁を植物で覆っている住まいをときどき見かけるようになりました。いわゆるグリーンカーテンと呼ばれるもので、暑さ対策として導入する世帯がふえています。
グリーンカーテンはアサガオやゴーヤなどつる性の植物を建物に沿わせて植え、日射を遮ることで屋内の温度上昇を抑えるものです。夏期の節電効果を高める方法の一つとしても近年注目されており、ヒートアイランド現象を抑制する効果を期待して、自治体が支援する例も見られるようになりました。
たとえば横浜市南区では市内に在住・在勤する世帯やグループなどに向け、ゴーヤの種に加え、栽培に必要な土や肥料等850円相当を提供しています。
同じく、首都圏に位置する東京都東村山市では、2015年から審査するグリーンカーテンコンテストを開催してきました。市民が育てたグリーンカーテンを評価する取り組みで、市のホームページでも取り上げられています。
室温-2℃! 意外に大きい植物のチカラ
地球温暖化の影響とも言われますが、近年は夏場の猛暑日がふえています。全国地球温暖化防止活動推進センターが発表している資料を見ると、国内における猛暑日の日数は1930年から増加傾向にあることがわかります。
気温が高い日は単に暑くて大変というだけでなく、屋内でも熱中症のリスクが高くなります。夏場を健康に過ごすために、今やエアコンは必需品ですが、室温の調整をエアコンのみに頼ると電気代の負担が増大します。
また、高齢者ではエアコンを嫌う人が多く、猛暑対策には工夫が求められます。そこで、注目されているのがグリーンカーテンです。国立研究開発法人建築研究所が行った実証実験によると、グリーンカーテンを導入すれば、最大で室温を2℃引き下げられると言います。
日射を遮る効果に加え、植物には葉っぱからの蒸散により温度上昇を抑えるはたらきがあります。「目に涼しい」という心理的な効果もあり、エネルギーを使わない効果的な対策として環境省でも導入を推進しています。
グリーンカーテン向きの植物選びと育て方
グリーンカーテン作りを成功させる最大のコツは適している植物を選ぶことです。窓や壁といった垂直面をうまく覆うためにはつる性の植物が向いています。
ゴーヤやアサガオが一般的ですが、他にもパッションフルーツ、オカワカメ、ヘチマなどもグリーンカーテンになります。ゴーヤ、パッションフルーツ、オカワカメは栄養豊富なので、夏場の滋養強壮にも役立ちます。
なにを植えるか考える際におすすめなのが、複数の植物を植えるミックス植えです。葉の茂り方が異なる植物を組み合わせると、すき間をなくして日射を効果的に防げる上、いろいろな「収穫物」を楽しめます。
種のまき時は通常、ゴーヤなら4月下旬から5月いっぱい、アサガオも5月いっぱいまでです。植え方はプランターに適切な土と肥料を入れ、這わせるためのネットを建物の窓際や壁面に設置するだけですが、室温を下げるためには窓だけでなく壁面も覆うように植えるのがコツです。
グリーンカーテン導入の注意点
自然の力を利用するグリーンカーテンはどうしても、虫を招いてしまいがちです。虫が苦手という人はゴーヤやパッションフルーツなど、害虫が付きにくい植物を選ぶといいでしょう。
つる性の植物は成長が早いため、数日で思わぬところまでつるが伸びてしまい、隣家やマンションの上階にまで届いてしまうことがあります。近隣トラブルにつながることも考えられるので、伸びすぎないよう小まめにチェックが欠かせません。
マンションのベランダで育てる場合には、土や落葉が排水溝を詰まらせないよう、小まめな清掃が必要です。また、マンションではベランダにある隣家との仕切り壁が災害時には壊して避難するためのルートになるため、プランターやネットでふさがないよう気を付けましょう。
まとめ
健康を守るためにも真夏のエアコン使用は必要ですが、使いすぎると電気料金が気になるだけでなく、環境にも大きな負荷をかけることになります。自然の力を利用するグリーンカーテンはそういった問題がないので、関心のある方は今から用意してみてはいかがでしょうか。