春は引っ越しの季節です。特に3・4月は引っ越し需要が集中するシーズンですが、2018年の春は希望する期間内に引っ越し作業を行ってくれる事業者を見つけられない「引っ越し難民」が急増していると報道されています。
なんとか見つけられても、相場の5倍以上という見積もりを提示されるケースが珍しくないため、賢い引っ越し戦略が求められています。
料金急騰! 希望の期間に引っ越せない人も
サラリーマンの転勤や大学生の入学等が集中する3月は引っ越しのシーズンです。年間件数の1/3がこの季節に集中すると言われており、引っ越し業界にとっては需要が急増するかき入れ時でもあります。
もともと引っ越しには季節により需要の増減が大きいため、それに伴って業者の設定する料金が大きく変動するという特徴があります。3・4月は年間平均額の5割増しというのが、これまでの通例でした。
ところが2018年はそんな事情に大きな変化が見られています。深刻な人手不足により、引っ越し業者が需要を賄うことができず、断るケースもふえているのです。そのため希望する時期に引っ越しができない「引っ越し難民」が発生しています。
料金も高騰しており、通常10万円程度の引っ越しの見積もりが50万円以上担ったケースもあると報告されています。
慢性的なドライバー不足に加え宅配への転職も
引っ越しをめぐってトラブルが発生しているもっとも主な要因はドライバーの不足です。もともと引っ越し業は季節により需要の増減が大きいため、ピーク時を賄うだけのドライバーを確保するのが容易ではありません。
それに加えて、近年は運送業全体でドライバー不足が深刻化しており、人手が不足する程度は宿泊飲食サービスに次いで全業界ワースト2とされています。
その一方、Eコマース市場が急成長する中、宅配の取扱量がふえるなど、運送業界の仕事量は近年増加傾向にあります。そのため引っ越し業界から宅配業界に人材が流出しており、ドライバー不足が深刻化しているのです。
近年はトラックドライバーのなり手が少なく、50歳以上が4割を占めるなど高齢化が顕著です。今後もドライバーは減少していくと予想されており、改善のめどは立っていません。
「難民」にならないための引っ越し対策
そんな中、「難民」にならないためにはさまざまな工夫が必須です。一番の対策は引っ越しの時期をずらすことです。ピーク時を避けることさえできれば、通常料金での引っ越しが可能なので、4月半ば以降まではウィークリーマンションで過ごすという対策が考えられます。
その間、旧宅の荷物を置く場所がないなら、トランクルーム等に預けておいて、引っ越しのピークが過ぎたら新居に運び込むのです。
2019年以降も同じことが起きると考えられるので、早めに物件を借りておいて、引っ越し時期を2月にずらすのもありでしょう。賃貸住宅の場合、家賃はほとんど日割り計算なので、半月ずらしても月額家賃の半分を負担するだけで済みます。
引っ越し業者を使わないという方法もあります。学生や単身のサラリーマンでは、レンタカーを借りて友人などに手伝いを頼むセルフ引っ越しを選択するケースもふえています。
その場合には運べる量が限られるので、荷物を減らして必要なものは新居で購入するという工夫も必要です。
トラックの運転が不安という場合には、運転手ごとトラックを借りる「レントラ便」やプロのドライバーと荷主を直接つなげるドライバーマッチングサービス「Pick Go」などを検討してみるのも良さそうです。
後者は運次第ですが、希望の日に希望のルートを配送してくれるドライバーが見つかるかもしれません。特に荷物が少ない単身者は引き受けてくれるドライバーを見つけられる可能性が高そうです。
時代に合わせて自衛策を
繁忙期の引っ越しが難しい状況は今後も続くものと考えられます。そんな時代に合わせて、引っ越しを予定している人はさまざまな自衛策を講じることが大切です。
前述したウィークリーマンションの利用は有効な策の一つですが、地域により価格差が大きいので、エリアや寝泊まりする期間によってはビジネスホテルの方が安く済ませられることもあります。
引っ越し業界は人材が不足しており、作業に慣れない人もふえています。壊れ物などはこれまで以上に梱包に注意する必要があります。また、引っ越し業者が保険に加入しているか確かめることも大切です。
加入していても、「引っ越し業者に重大な過失がある場合」などは補償されないことを理解しておきましょう。宝飾品や貴金属、美術品なども補償されないので、自分で運ぶよう気をつけるべきです。
まとめ
引っ越しをめぐる状況は、今後も長く変わらないと見るべきでしょう。むしろ悪化する要因も多いため、2018年の秋や翌春に引っ越しを予定している人は今から準備しておくのも良さそうです。