投資や資産運用の方法はさまざまです。最近では投資のハードルが下がり、サラリーマンや若い女性でも積極的に取り組む人がふえています。アパート一棟を購入し、管理・運営することで家賃収入を得る「アパート経営」も投資の一種です。
ところで、アパート経営は他の投資と比較して何が良いのかをご存じでしょうか。そこで今回は、アパート経営と他の投資・資産運用との違い、アパート経営を行うメリットについて紹介しましょう。
代表的な投資手法
まず、投資手法として代表的なものを紹介します。
1. 株式投資
上場企業が発行する株を売買して収益を得る方法です。100株単位、1,000株単位など、企業によって購入できる単元株数が異なります。インターネットで口座を開設できる証券会社も多く、数万円から十数万円で手軽に購入できる株式もあります。
2. 投資信託
販売会社などを通じて、個人が投資したお金を資産運用のプロがまとめ、金融商品に投資することで収益を得る方法です。投資対象となる金融商品には日本や海外企業の株式、債券などがあり、毎月定額を自動的に投資できる自動積立などもあります。
3. ソーシャルレンディング
インターネットを通じて事業者が個人から資金を集め、中小企業などに融資を行います。融資を受けた企業はその資金を使って事業を行い、その収益を投資家に分配します。投資家は不動産、再生エネルギー、新規事業資金などのファンドを選ぶことができます。
4. アパート経営
アパートを所有して部屋を貸し出すことで収益を得るという不動産投資の方法の一つです。主に、土地を購入して建物を新築するパターンと、土地・建物の両方を中古購入するパターンがあります。マンション経営では一室を所有する区分所有のような投資方法もありますが、アパート経営では主に一棟を管理・運営します。
収益性の比較
1. 株式投資
株価の変動による差益と、分配金や株主優待などの収益があります。株価の値上がりは、景気や会社の業績などに左右されます。また、企業のサービスや商品が社会現象になったりすると、株価が大きく上昇することがあります。短期間で売買し利益を出す短期投資と、長期間株式を保有して利益を出す長期投資があります。
2. 投資信託
基準価額が上がったときに売却することで得られる「値上がり益」と、運用が順調なときに得られる「収益分配金」の2種類があります。投資信託は短期投資で売買益を得るというよりも、数年から数十年単位で長期投資をし、コツコツと資産をふやすほうがおすすめです。
3. ソーシャルレンディング
事業から得られた利益が運用期間後に分配されます。他の投資と比較して利回りが高いのが特徴です。また運用期間は、半年から3年程度と比較的短いものが多い傾向にあります。
4. アパート経営
アパートの入居者から毎月入ってくる家賃収入が収益です。修理・修繕費や管理費などの費用やローンの返済はあるものの、毎月の家賃収入額は基本的に変わらないため、安定的に収益を得やすいというメリットがあります。
取り組みやすさの比較
1. 株式投資
チャートの見方や銘柄の選び方、売買のタイミングなど、基本的な知識を学んでから取り組む必要があります。投資を開始してすぐに収益を得ることはなかなか難しいでしょう。
2. 投資信託
長期投資を前提としているので、比較的スタートしやすいでしょう。初心者の場合は自分の興味のあるファンドを購入し、自動積立などを利用することで少しずつ資産をふやすことができます。投資のプロであるファンドマネジャーに運用を任せているため、個人投資家は定期的に運用成績の報告を受けます。
3. ソーシャルレンディング
1万円程度からの低額投資が可能です。低コストではじめやすいのがソーシャルレンディングの最大の特徴でしょう。投資後は基本的に運用期間が終わるまで、そのままにしておきます。
4. アパート経営
不動産投資の知識を学んだり、安定した収益を得られそうな土地・建物を探したりする準備が必要です。購入後は物件の管理・運営が必要になりますが、これは管理会社に委託することが可能です。入居者がいる限り毎月家賃収入が入ります。経営が順調であれば継続しやすい投資です。
リスクの比較
1. 株式投資
企業の不祥事や倒産などで、株価が急激に値下がりするリスクがあります。同じ株式をたくさん保有していると大きな損失が出てしまうおそれがあるため、業種が異なる複数の企業の株式を保有して、リスク分散を図るのが基本です。
2. 投資信託
プロのファンドマネジャーが運用するため、株式投資と比べるとリスクは少ないものの、運用損が出るリスクはあります。また、投資の際に想定していたよりも利益が得られないおそれもあります。
3. ソーシャルレンディング
貸し倒れが少なく、低額から投資できるので、リスクはそれほど高くないといえます。もちろん、事業がうまくいかなかった場合は、損失が出るリスクがあります。また、運用期間中は解約ができなかったり、低額投資の場合は利益額が少なかったりします。
4. アパート経営
満室であれば問題ありませんが、空室が続くと家賃収入が減ってしまうリスクがあります。また、天災や火事などに見舞われて物件の価値がゼロになったり、下がってしまったりするおそれもあります。不測の事態に備えて、火災保険や地震保険でリスクヘッジします。
すべての投資には必ずリスクがあります。ただし、アパート経営は比較的リスクが少なく、毎月安定した収益を得やすい投資です。また、サラリーマンのような本業を持つ人でも両立しやすい点がメリットといえるでしょう。アパート経営に向いている土地を自分で調べたり、現地に足を運べる人や、購入後も自ら維持管理や空室対策ができるようなマメな人にはピッタリの投資方法です。そういう気質の人なら、ぜひ一度アパート経営を検討してみてはいかがでしょうか。