初心者でもはじめやすい不動産投資の一つが「中古アパート経営」です。中古物件なら購入価格を低く抑えられるので、高い利回りが狙いやすくなります。
とはいえ、高利回りが期待できる中古アパート経営でも、物件選びに失敗すると期待した収益が得られないといった事態になりかねません。そこで本稿では、物件選びの際のチェックポイントについて紹介しましょう。
環境・設備面のチェックポイント
投資対象となる物件は、大まかに「単身者向け」と「ファミリー向け」に分けられます。それぞれは、求められている設備、広さ、間取り、周辺環境などが異なります。
まず、単身者向けの中古アパートは、駅から10分以内の立地を選びましょう。単身者は車を持っていない人も多いので、駅から遠い物件は選ばれにくくなります。周辺にコンビニエンスストアや深夜まで開いているスーパーマーケットがあると便利です。
一方、ファミリー向け中古アパートは、必ずしも「駅近」である必要はありません。車を所有していることも多いので、駅近よりも駐車場の有無が重視されることがあります。駐車スペースがあれば、駅から多少離れていても客付けは可能です。
ファミリー層の日常の買い物は、コンビニエンスストアよりも、スーパーマーケットやドラッグストア、国道沿いのショッピングセンターなどを利用することが多いので、そういった店に行きやすい立地が好まれます。さらに、周辺に学校や公民館、公園、図書館などの公共施設があると入居者が決まりやすくなります。
設備面でチェックしておきたいのはガスです。都市ガスなのか、プロパンガスなのかによって、毎月のガス代は大きく変わります。意外にチェックしている入居者も多く、光熱費がかさみがちなファミリー向けアパートの場合、都市ガスあるいは、都市ガスに変更できるかどうかを確認しておきましょう。
住人についてのチェックポイント
成功するアパート選びでは立地が重要ですが、立地が良くても失敗するケースがあります。物件選びと同じくらいに大切なのが、どのような人が住んでいるかという点です。
一般的に家賃が高いアパートは家賃の滞納が起こりにくく、家賃が安いアパートは滞納が発生しやすいといわれます。家賃の安いアパートの住人は、収入の低い人が多いためです。オーナーにとって好属性の住人が住む物件は、築古で狭いアパートよりも、物件管理が行き届いた築浅のきれいなアパートと考えられます。
居住している住人のチェックも欠かせません。たとえば夜の仕事をする人は、早朝に帰ってきて家事をこなし、昼前に寝るという生活パターンになります。そのため深夜から早朝にかけて掃除機や洗濯機を使う場合、隣人にとっては大きなストレスになるでしょう。学生の場合、遊びに来た友人などと夜中に騒ぐこともあり、隣人が社会人の場合はトラブルに発展するかもしれません。
オーナー自身に非がないのに、住民間トラブルで退去者が出てしまう事態は、できるだけ避けたいものです。学生は学生、社会人は社会人、ファミリーはファミリーといったように、できる限り生活パターンが同じような人たちが入居している物件を選んだほうが管理は容易です。
共有部分が荒れているアパートでは、トラブルが起きやすいという見方をする投資家もいます。住人も「建物をきれいに使おう」という意識が欠けていると考えられるので、修繕などでオーナーの負担がふえるかもしれません。また、不審者が侵入しやすくなり、防犯面で問題が起きるおそれもあります。
住人がお互いに配慮しながら生活している物件かどうかを判断するには、郵便ポストや照明、駐輪場などの共有部分の状況をチェックしてみることです。できれば現在のオーナーに、入居者の人となりなどを聞いてみるのもいいでしょう。
立地と同様、物件管理も重要
立地が大事なのはもちろんですが、同じくらい大切なのが物件管理の状態です。アパート内の設備や環境が悪くなれば、退去が発生しやすくなります。加えて、修繕費がかさむため利回りが低下するでしょう。
結果的に客付けにまわすお金がなくなり、利益が減って、最後は売却せざるを得なくなるというリスクもあります。しかも状態が悪ければ、買い手が付かないという事態も考えられます。管理が行き届いて、住人の属性が良い物件を慎重に選びましょう。