不動産投資でアパート経営と聞くと、「自分は土地を持っていないから……」と思う人もいるでしょう。しかし、実際には土地を持っていなくても、新たに土地を購入してアパート経営をはじめることは可能ですし、土地・建物を同時に購入することのメリットもあります。
そこで今回は「土地なしのアパート経営」について考えてみましょう。
土地とアパートを同時購入するメリット
土地とアパートを同時に購入する最大のメリットは、立地を自由に選べるという点でしょう。人口減少が進み賃貸住宅の競争が激しくなっている現在、立地の良くない場所にアパートを建てても収益は見込めません。そのため、確実に需要が見込めるエリアや交通アクセスに優れた駅に近い場所などを選ぶ必要があります。
また、地方であれば駐車場が確保できるような土地も適しています。初期費用がかかったとしても、そのほうが後々の経営もうまくいく可能性が高まります。
さらに不動産を購入する際に、「物件からどの程度の収入を得るか」という具体的な計画を立てることが重要です。「物件価格」「家賃設定と部屋数」「ローン金利と返済期間」などについて、具体的なプランを持って物件を選ばないと危うい不動産経営をしていくことになります。
土地が自由に選べるということは、物件のエリア、建物の大きさ、家賃など、投資家がすべて自由に選べるということを意味しています。それが土地同時購入の最大のメリットです。
建築を前提に土地を購入
「土地なしのアパート経営」で最初にすべきことは、もちろん土地の購入です。購入方法としては、土地を斡旋してくれる不動産会社を利用すべきでしょう。その理由は、土地探しから金融機関の紹介、物件の建築までワンストップで行ってくれるため、スムーズに物事が進み比較的早く新築アパートを手に入れられるからです。
ただ、すべてを一社に任せてしまうと、選択の幅がどうしても狭くなるというデメリットもあります。できる限り安い金融機関を探したい、できる限り安い建築費用でアパートを建ててくれる施工会社に頼みたいなどと考える人は、非常に手間はかかりますがすべてを自分で行ってみるのも一案です。
土地とアパート同時購入の注意点
土地とアパートを同時購入する際の注意点もあります。自分が想定している収入を実現してくれそうな土地を探し、複数の建築業者に建設費の見積もりを依頼し、実際にアパートを建築し竣工してから賃貸経営がはじまります。アパート経営を思い立ってから実際にはじめられるまでに、約1年は見込んでおいたほうがいいでしょう。そのため、すぐにでもアパート経営をはじめたい人には不向きです。
また、土地と建物の両方を購入するとなると金額はどうしても高くなるため、借入金額も大きくなります。結果的に返済リスクが大きくなることから、空室時の影響を大きく受け、また、わずかな金利上昇も毎月の返済額に影響します。
中古アパートを購入する
もう一つ、土地なしからアパート経営をはじめる方法があります。それは中古アパート一棟を購入するというものです。たとえば、築20年を経過した木造アパートなら、建物の価値は大幅に下がっているので、新築物件と比較するとかなり安い価格で購入できます。
ただし、経年した木造アパートの場合、担保価値も下がっているため、金融機関からの融資を受けにくいという問題が発生します。場合によっては、購入資金の大半を自己資金で用意することになるかもしれません。
また築古の場合、賃貸物件としての魅力も当然低下しており、購入と同時にリノベーションや修繕が必要となることも珍しくありませんし、安価で売り出されるということは表面上ではわからない不具合が潜んでいるおそれもあります。中古物件はこのようなリスクがあることを踏まえて購入しなければなりません。
土地を持たない人は「自由に立地を選べる」という強みを活かせますが、建物と土地をセットで購入しようとすると相応の資金が必要になります。ただ、綿密な計画を立てて不動産会社の担当者とよく相談しながら事業を展開すれば、不動産投資で成功する可能性はむしろ高いといえるかもしれません。「土地を持っていないから……」と簡単に諦めずに、アパート経営の可能性を検討してみてはいかがでしょうか。